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藤棚商店街今昔物語 不二家

<2024年 第96号>

 かつて藤棚商店街に洋菓子で有名な不二家さんがありました。当時のオーナーであった山口さんにお話をうかがってきました。


 藤棚商店街と藤棚一番街の間の藤棚町交差点付近にお店が開店したのは1977年だそうです。義理のお兄様が本社にいらしたご縁で開業に至ったそうです。

 当時、すでに全国チェーンを展開していた影響もあり、お店の人気はすさまじく、開店と同時に商品が飛ぶように売れ、品切れが続く毎日でした。

 当時は、バレンタイン、ひな祭り、七五三、クリスマスなど年中行事や慶事に合わせてケーキなどを買い求めるお客さんの需要が多く、バブル期の経済成長もあいまって商店街が活気にあふれていたようです。


 営業時間が8:00~21:00と長かったこともあり、 隣のパチンコ屋さんで勝ったお客さんが十数個単位で気前よく商品を買ってくれることも日常茶飯事だったようです。

 あまりの人気ぶりに、商店街の店舗からやっかみを受けることもあり、また、今の時代ではカスハラと呼ばれるような対応にもめげずに店を切り盛りされていました。

 坪単価売上が不二家グループ全国一になったこともあった全盛期、そして不二家問題などを経て28年間走り続けましたが、体力的な問題もあり後進に店舗を譲りました。その後、後進の方も人手不足の影響を受け、数年前にお店は閉店となりました。

 お話をうかがっている中で、商店街の一時代を築いてきた自負が感じられ、藤棚交差点の顔だった当時のオーナーからは暖かな人柄がにじみ出ているように思います。

(現在は空き店舗になっていますが年末には新しいお店が入るようです。楽しみですね。)



 時代が変わり、住む人も変わっていく中で、商店街に求められていくものも変化しているように思われます。

 物価高等、厳しい経済状況が続く現代においては、なかなか購買意欲も湧きませんが、今の商店街にも魅力的な店舗はたくさんあります。

 また、現代の商店街には珍しく、新規出店も多いです。不二家のあった藤棚交差点がかつて黒山の人だかりだったように、かつてのような賑わいをもう一度、取り戻していきたいものですね。

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